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2017-05

憑依鈍行の車窓から1



 深夜の電車でに揺られながら、仕事で疲れきった体をほんの一時だけ休めていた。
 ガタンゴトンと、そんな音だけが聞こえてくる車内はどこか物悲しく感じる。何より、この車両には男しか乗っていなかったので、いっそう寂しさを感じた。
 
「はぁぁ……」

 ため息を漏らして、男はちらりと腕時計を眺める。まだ駅に着くまで1時間ほどかかりそうだ。
 こんな長距離の通勤をいつまでも繰り返していたら、いつか体が持たなくなるんじゃないのか――同僚にそう言われたときがあった。
 自分でもそれは正しいと思う。引越しすることだって考えたが、しかし、その男にはそれを止められない理由があった。
 なぜなら、電車に長時間揺られる機会を得ることは彼にとって、喜ぶべきことなのだ。
 
 しばらく車窓を眺めていると、少しして無機質なアナウンスとともに、電車の速度が落ちはじめる。
 ゆっくりと街灯に照らされた道路から、薄暗い無人駅に移り変わる。

(これは……!!)

 そして、数秒もしないうちに扉が閉まる空気音とともに、無骨な車輪が回り始める音が聞こえた。
 静かだった電車が揺れ始める。それと一緒に、胸の鼓動が一気に高まった。

憑依鈍行の車窓から1 »

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