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精神憑依の付箋5

 ふらふらと夜道をさ迷う、一人の少女は乗り移られていた。
 ひどく着崩れた服を直そうともせずに、心地よさそうに目を瞑って鼻歌を歌いながらふんふん、と気分が良さそうだ。髪の乱れとあわせれば、さながら銭湯帰りといったところだろうか。
 これが浴衣や、寝巻きに近い軽装であれば違和感もなかっただろうが、通りすがりの自転車の男性がぎょっと振り返る。けっこう、やばいかもこれ。

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魂堕としの快速通勤列車 弐


「……ただいま」

 返事は期待していない。さっさと階段を上り、何か言われる前に自分の部屋に閉じこもった。
 ひどい気分だ。
 学校に行っても先生の言葉は何一つ耳に入ってこなかったし、友達にこんなこと言えっこない。一応、最後まで授業を受けてはきたけれど、正直行く意味はなかったんじゃないかなと本気で思っている。
 現に、今でも感情――心のモヤモヤが、胸の中に残り続けていた。
 友達は本気で心配してくれたけど、やっぱり顔に出ていたみたいで、どうしても辛い。ベッドに身体を預けてぎゅうと顔を伏せた。


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魂堕としの快速通勤列車 序


 小刻みに、誰もが身体を小さく揺らす。
 大勢に使われるせいで濁った吊革、指紋だらけの鉄棒、すっかり薄汚れた床板。ビルを通り過ぎる車窓を背景に、眠っているか、あるいは携帯の画面を眼鏡に反射させているサラリーマン、鏡で自らの姿を確認するOL。
 狭い車内は鮨詰めで、誰もが身体を否応なく押し合わせている。列車が曲線を通り過ぎようものなら、その影響は大きく、人の波は片側に傾けられたように遠心力に従ってしまう。
 手のひらでしっかりと手放さないように、両手に力を込めてぎゅっと握り締める。
 誰かにぶつかってしまわないように、開閉扉のガラス窓に向いてじっと外の風景を見つめていた。

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プロフィール

spiritinserter

Author:spiritinserter
裏でこっそりと執筆している憑依系R18小説の個人的保管庫
憑依、乗っ取り、操りがメインです。気が向いたら更新します。
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