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2017-06

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魂堕としの快速通勤列車 序


 小刻みに、誰もが身体を小さく揺らす。
 大勢に使われるせいで濁った吊革、指紋だらけの鉄棒、すっかり薄汚れた床板。ビルを通り過ぎる車窓を背景に、眠っているか、あるいは携帯の画面を眼鏡に反射させているサラリーマン、鏡で自らの姿を確認するOL。
 狭い車内は鮨詰めで、誰もが身体を否応なく押し合わせている。列車が曲線を通り過ぎようものなら、その影響は大きく、人の波は片側に傾けられたように遠心力に従ってしまう。
 手のひらでしっかりと手放さないように、両手に力を込めてぎゅっと握り締める。
 誰かにぶつかってしまわないように、開閉扉のガラス窓に向いてじっと外の風景を見つめていた。







 ……混んでるなぁ、この時間は。やっぱり。
 背中に押し付けられるのは、誰かの生暖かい背中。それが男の人か、それとも女の人さえ分からない。迷惑になってしまうので振り返る余裕はない。
 しかし身体を押し付けられるのは、とても嫌だ。なぜかは分からないけれど背中がゾワゾワするから。
 とは言っても、こんな朝の満員電車では言っても仕方がない。人が減るまで待っていたら、間に合わなくなってしまうのだ。不便な世の中だ。もうちょっと、列車の本数を増やしてくれてもいいのに。

 カタン、ゴトン。ゴト、ゴトッ。
 車輪が線路に沿って回転し、車体を小さく跳ねさせるたびに髪が小刻みに震える。やっぱり人が集まっていると蒸し暑く、服の内側でじんわりと汗をかきはじめている。
 車体の上部から流れてくる冷たい空気を感じて、少しはしたないかな、と思いながら指先でくいっと胸元をちょっぴり開いた。

「はぁ……涼しい」

 誰にも見られないように隠しながら、それでも少し体が冷やされて心地いい。
 そんな風にすごしつつ、まだしばらく乗っていなければならないこの車両に、内心でウンザリしている時。ふと、背中に新しい感触を感じる。
 いや……背中というよりは、腰。お尻の少し上あたりに固い感触。
 これは、手か。それとも誰かの鞄だろうか。厚い布越しだったので判断がつかなかった。

 嫌だなぁ……こういうの。
 かろうじでお尻に触れていなかったので、少し表情を曲げるものの、偶然だろうなと決め付けて体制は変えなかった。
 満員電車なんだから、そんなことくらいいくらでもある。わざとじゃない人に、いちいち文句は言えない。
 そんな事を思っていると、大勢の客を乗せた列車はカーブにさしかかる。キィィ、と甲高い音が外からうっすらと聞こえるとともに、触れていた感触は徐々に下にずれていく。
 腰から、膨らみへ。少し表情を変えてしまったけれど、硬い感触は動かない。やっぱり鞄なんだろうな。

 そんなことを思いながら、しばらくじっと外を見続けてすごした。
 しかしそれから数十秒後、状況が変化する。

 ……えっ、何? う、動きはじめたよ……
 硬い感触が、自分のお尻をゆっくりと這う。それが円を描くみたいな動きだと気づいたとき、顔を青ざめさせた。
 これは、もしかして……いや、間違いなく、痴漢に違いなかった。列車に乗っていて擦れることはあるだろうけれど、こんな動きなんてあり得ないよ!

 ど、どうしよう……と、少女は冷静さを失って困惑した。
 しかし思いのほか取り乱しはしない。この手合いは、これ以上のことはしてこないはずなのだ。
 友達とこういう話をしたことがあるけれど、例えば男の人が想像するみたいな酷い事になることはほとんどなくて、大抵はお尻を撫でられるくらいのものだ。
 それに、自分も痴漢に遭うのはこれが始めてじゃない。
 ちょっと我慢すれば、すぐに離れてくれるはずだ。ほんとは駅員さんに来てもらうのがいいと思うんだけど、学校に間に合わなくなっちゃう……っ!?
 
 痴漢の手の動きが変わったとき、背筋に怖気が走った。
 撫でる動きから揉むように、ぎゅっと掴んできたのだ。心臓が飛び出すかと思った。

 やだ、嘘……こんなこと、されたことなかったのに。
 思わず出てしまいそうになった恐怖声を、胸に当てていた手で抑えた。しかし心臓の激しい動悸など、痴漢が知るわけもなく

、どこからか差し入れられた片方の手でぎゅううと掴んでは、離してを繰り返してくる。

 私の、お尻は、おもちゃじゃないよ。
 激しくそう言ってやりたかったけれど、言葉が出てこなかった。けれどここまでされるのは、なかなか酷い体験をしているのかもしれない。
 学校に言ったら、友達に愚痴ってやる。そう心に決めたとき……手が離されたのを感じる。

 ……はぁ、離れてくれた。
 小さな怒りよりも、恐怖の方が押し勝ってどうしようかと思ったときだったので、本当に助かった。
 
 しかし、スカートがぐいっと上に持ち上げられたことで、安堵した気分は一瞬で鎖に縛られたようになる。
 息が死んだみたいに止まる。身体が強張り、汗ばんだ太ももに涼しい風が送りこまれた。
 しかし、少し前なら快適であったはずのそれも、今となっては酷く気持ちの悪い感覚に成り果てている。なぜなら、決して入り込まれてはいけない股ぐらに、誰か知らない人間の手が差し込まれているのだ。
 さっき触れていた感触からすると、男の人だ。

 とたんに、言い知れない恐怖が全身を支配した。
 かくかくと足が震え始め、心臓がひどく鳴りはじめる。まずい、まずい。こんなの、聞いてないよ。
 しかし、痴漢はもちろん手を止めたりはしなかった。この恐怖をまるで知らんと言わんばかりにたくしあげられたスカートの中、ショーツの上からぎゅんとお尻を掴まれ、形を変えさせられる。
 やだ、やめて。やめてっ!
 止めなければならない。そう思ったけれど、駄目だった。何で。手が、動かない。
 動かして、今すぐ手を掴まなきゃいけない。そのはずなのに、なぜか動かない。自分でも分からない。そうするべきなのに。
 そんな動揺を、痴漢は見抜いたのかもしれない。尻を揉むだけではなく、とうとうイケナイところに手を伸ばそうとしていることに、気づいてしまった。

 ダメ! そこは――ひっ!!
 指先が、触れてしまう。
 すり、すり。擦られる。緊張と、警戒と、熱気から噴き出した汗で蒸れたそこに、二本の指が這わせられる。手のひらは天井を向いているから、この痴漢はすぐ傍にいるのだ。
 やっ……やだ。きもち、わるい……よぉ。
 涙が滲み始める。どうして、自分がこんな目に遭うのだ。背中が、気持ちの悪さでゾクゾクと不快を与えてくる。
 止めてほしい。今すぐに。

「や、めて……下さい」

 心の中に残った勇気を、胸を絞るようにぎゅうと締め付けて、そのたった一言を捻り出す。
 自分でも驚くほど小さな、まるで囁きにも足り得ないような一言だった。届いたか、どうかを、自分でも分からないくらいの。
 しかし、思いのほかに、ぴたりと手が止まった。
 お願いです。這わせたままの手を、このまま外してください――そう願った。停止した手が列車の揺れで震えて、こんなところでスカートをたくしあげられ、晒された下着が誰かに見られてしまいそうで、怖い。怖い、怖いよ。
 
「…………」
「……ひっ!」

 通じなかったことを、悟った。
 少し浮いた指先が、再びぺたりとくっつけられる。そして、股間を這わせるみたいに再び上下するのだ。
 息が苦しくなってくる。緊張、しすぎている。恥ずかしくて死んでしまいそうだ。

 ブウウン、とエアコンの音がやけに耳に残る。窓ガラス越しに後ろにいる人を伺うが、ぼんやりしすぎていて誰がだれだか分からない。自分の背後に、背の高い誰か立っているのは分かる。この人が痴漢なの?
 横目で周囲をうかがうけれど、誰も自分の事はみていない。
 もう一度声を出そうと思っても、自分にはもう無理だった。このまま、されるがままになるしかないのだろうか。
 縋るように上を見たけれど、電光板はあと数駅ほど走り続けなければ駅に着かないという、無常の現実を示している。足元がガラガラと崩れ去っていくような錯覚を覚えた。

「……ッ」

 そして、とうとう、防壁が破られたのだと悟った。
 擦るのに満足したのか、痴漢はショーツの一部をずらしたのだ。スカートの中に手を差し込まれ、ショーツの中に指を差し込まれて、ソコを擦りはじめた。
 恥ずかしすぎて、顔が真っ赤で、身体中が重りになったみたいだ。
 羞恥、屈辱、悔しさ。さまざまな激情が自分を支配する。
 こんなの、酷い。
 ごつごつとした指先は、守るものを失ったショーツを押しのけて、アソコに触れられてしまった。指が擦れるたびに快感ではなく、おぞましい恐怖と不快感が全身を駆け巡る。
 
「大丈夫。ひひっ、すぐ、僕のものになるから」

 ゾクリ、と耳元まで凍りつく。
 気持ちの悪い、ひどく重苦しい声が肌を撫でた。まるで得体の知れない物体に首筋を舐められたような感覚。
 それと同時に、触られっぱなしのアソコの内側に何か生温いものが染み込んできたのを感じた。ビー玉くらいの大きさだ。思わず太ももをぎゅっと閉じたけれど、驚いたことに、ソレは氷が溶けていくみたいに消えていった。
 
「じゃあ、うひっ、後でね」

 そして痴漢は満足したのか、手がようやく離された。
 だというのに、当たり前だが、気分は全く優れなかった。酷く息は乱れ、棒みたいになって震える片手で、なんとかスカートだけでも元の形に戻す。ずれたショーツは、もうどうしようもない。
 ひどい、ひどい……っ。
 涙が、頬を伝って滴り落ちる。
 朝からこんな目に遭うなんて思ってもみなかった。今も、足が震えている。どうして自分がこんな目に遭わなきゃいけないんだろう。
 一刻も早く逃げ出したかった少女は、次の駅で扉が開いた瞬間に急いで降りた。
 あの男は、この駅で扉が開くから行為をやめたのだろう。ホームの女性用トイレに駆け込んで、個室の鍵をかけて、静かな空間に一人。

「う……ううぅっ……うぅ」

 ひどい。声を殺して、溢れ始める涙を、袖で拭う。拭いきれずにポケットの緑色の刺繍の施されたハンカチを目に当てる。
 こんなことで使うとは思ってなかった。
 便座に座って、スカートに手を差し込んでショーツを下ろした。
 トイレットペーパーを巻き取って、股間に当てて拭う。まだ触られる感触が残っているみたいで、気持ちが悪すぎた。
 拭う、拭う。汚い。嫌だ。人の手の脂が残らないように、必死で触られた場所を拭った。途中で何か異物を入れられたかと思ったけれど、見ても何もなく、違和感も感じなかった。
 
 作業を終えると、ようやく流れていた涙も落ち着いてきた。
 これだけ拭ったというのに、まだ指の感触が残っているみたいで、今日はもう、きっと忘れることはできないのだろう。
 こんなことになるなら、最初のうちに手を掴んでおけばよかった。
 いや、途中からでも勇気を出せばよかった。
 もう言っても仕方がないけれど……けど、せめて、これ以上のことがされなかっただけでも運が良かったと思うしかない。
 
「……はぁ」

 行こう。
 いつまでも、こんなところにいても解決しないんだから。
 トイレの個室を出て、切符が財布の中に挟まっていることを確かめる。そしてまたホームに戻ってみると、いまだに人が大勢いて、ちょうど列車が前の駅からやってくるトコロだった。

 ホームに響いていたモーター音が徐々に静まり、停止する。
 ドアの開閉する空気音がしたあとは、人の出入りが行われる。その流れに乗って、列車に乗り込んでいった。
 奇しくも、それはさっき自分が立っていた、出入り口ドアのすぐ傍になってしまった。一番最後に押し込んでしまったから、仕方がないのだが。
 色々とモヤモヤ考えているうちに、思考を打ち切るようにドアが閉まり、車体が動き始める。
 カタン、ゴトンッ。ゴト、ゴト。
 さっきと同じように、窓側を向いておく。内側を向いていたかったけれど、手すりを握れないし、さすがに不自然に思われてしまう。それにあんな痴漢に、一日で二度も遭遇することはないはず。
 ……毅然と構えよう。
 そうすれば、何も怖くない。もうあんな痴漢に負けたりしないんだ。次はすぐに手を掴んでやるんだ。


 その時。
 少女の心臓が、本人の意思に関係なくトクンと小さく震えた。

 それが肉体から、そして魂からの最初の警鐘だった。
 このままじゃ危ないよ、何とかしないとまずいよ、と少女自身に教える赤信号。
 しかし、決意を示したちょうどその時に鳴った心音。少女は気づかなかった。
 明日には痴漢の手を握り、高らかに振り上げるどころか、逆に生まれてから得てきた全てのものを失ってしまうことを、いまの決意を固めた少女自身が、その未来を想像できるはずもなかったのだ。

 だから対策を何一つ施すことなく、遅刻してしまったな、と急いで学校に向かう。
 警鐘を無視して、向かう。


 魂の侵食が完了するまで。
 二十三時間、三十五分。

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